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インドのエロ業界

小林

(各画像はクリックで拡大表示されます)

■エロ本屋の世界
■ここ数年のインドのエロ本事情の進展は著しい。私がインドに行き始めた1990年頃は、まだエロ本を街中の露店で目にすることは少なく、ニューデリー駅前の食堂街の一角で、シャッターが下りた深夜、密かに売られていたし、内容も単に北欧のポルノ雑誌を粗悪な印刷でコピーしたものを綴じただけのものであった。それでも1冊100〜200Rsぐらいしていた。それはまだ高級な方で、さらに安いものとしては、わら半紙に白黒コピーで保健の教科書のような図解を10数ページ綴じただけのものもあった。これはデリー以外にも、地方を走る長距離ローカル・バスが休憩所に泊まるたびに車内を売り歩く果物売りやスナック売りが入ってくるが、その中に雑誌売りも居て、映画雑誌などと共に売られていた。

■ボンベイはさすがに港街であるせいか、デリーとはやや事情が異なり、今でもチャーチゲート駅周辺は古本屋の露店がずらりと並んでいるが、その中にエロ本のみの店も2,3軒あり、デリーに比べやや質の良いものを売っていた。(尚、現在ではVT駅〜チャーチゲートにかけての道の両脇に並ぶ露店街の中にエロ本屋台も多く並んでいる。またエロVCDの露店も多い)

■その状況が98年頃より一変した。少なくとも表紙を見る限りに於いては諸外国で売られているエロ本と遜色ない。価格も1部50〜80ルピーと以前に比べぐっと下がった(尚、ヒンディー語版の方が英語版よりも10〜20ルピー安い)。規制が緩くなったのかどうか判らないが、長距離バス・スタンドや駅前の露店でも他の雑誌と並んで堂々と売られていた。

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(ニューデリー駅前のエロ本屋台。お爺さんの笑顔が眩しい)

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(エロ本の表紙と中身の一部)

■内容は主にインターネットでDLしたと思われる欧米のモデルの写真が中心。局部は修正されているが、この修正の仕方が独特で、ただ単に黒く塗り潰すだけでなく、水着の形に塗ったりしている。

 

■エロ映画の世界
■右の写真は2002年11月当時、デリーのRivoli Cinemaで上映されていた『Chinese Kama Sutra』というエロ映画である。クリック〜拡大表示していただければお判りになると思うが、ポスターの左側には日本人と思しき水着女優の姿が見える。これに釣られた私は館内に入ったが、題名通り中国が舞台ではあったもののアジア系女性は殆ど出て来ず、中国某所の図書館で働く金髪女性がふとしたきっかけで手にした『中国版カーマスートラ』の魔力に惹かれ、性を極めた妖術師の元に通うようになり性の秘儀に目覚めて行くというストーリーで全くつまらなかった。

■私はこの映画をバルコニーで観たが料金は50Rs(約130円)であった(フロアは35Rs)。Rivoliはコンノートの真ん中にあるもののボロくイスもガタガタで、料金もこのクラスでは妥当である。問題は上映時間で、この映画は当然インド映画ではないので、約2時間弱、このため1日5回(12:30, 2:30, 4:30, 6:30, 9:30)である。館内に入ると、上映前は今後Rivoliで上映予定のエロ映画の予告などをやっている。ちなみに日本のこの手の映画館内に立ちこめているある種の臭気といったものはインドのそれには無い。

■さて、私がこの映画を観た本当の理由は、どの程度インド映画のエロシーンがカットされるのか、つまり検閲の度合いを知りたかったからである。カットは非常に多く露骨であり、ベッドシーンになるとプチッと切れて翌朝の朝メシを寝ぼけた顔で食べてるシーンになったりして興ざめする事この上ない。日本のアダルトビデオのようにモザイク処理などでは当然無く、シーンそのものを切るやり方である。それでも女性の乳首・尻はOKのようであり、しっかりと拝見出来た。また一部陰毛が映し出されていたシーンもあったが、これは検閲局の見落としだと思われる。
尚、北インドではそのようなものは見たことが無いが、マドラスなどの(非エロ)映画館に行くと映画のどのシーンをカットしたのかを検閲局が記した書式が各映画館の掲示板に貼られてあって興味深い。

■同映画は全てヒンディー語吹き替えとなっていた。また、外国映画にもかかわらず強引なインターミッションがある(始まって1時間半後)。しかし映画そのものの長さが2時間に満たないのでインターミッション後の時間が嫌に短い。この辺は非常にいい加減な印象で、同じ外国映画といってもハリウッド映画の場合はこのようなズサンな区切り方はしない。

■尚、ごくわずかしか観たことが無いが、国産エロ映画の露出度は外国映画に比べて圧倒的に少ない。またデリーの場合、通常一般映画の上映開始時刻は12時半からだが、その前に『モーニング・フィルムス』と称して同じ映画館でこの手のエロ映画は朝9時半から上映される場合も多い。

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『Chinese Kama Sutra』の看板
看板に偽りある。

 

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Rivoli Cinema入り口前

 

■正規版エロVCDの世界
■インドのみならず、現在東南アジア全域に流通している映像ソフトとして圧倒的シェアを誇っているのはVCDである。内、一般のインド映画(非エロ)の場合、正規版と海賊版の価格の差は殆ど無い。これは正規版のビデオ化権取得〜商品化〜販売に規制があってタイム・ラグが生じるため、公開と同時に販売される海賊版の需要が高い事、また映画さえ観られれば正規も海賊も問わないという大らかな国民性などが関係していると思われる。
膨大なVCDの前にあって、かつて主流だったビデオテープはすっかり影を潜めた形である。現在ではビデオ販売・レンタル店も街中ではあまり見なくなったが、かといってレンタルVCD屋もあまり無い。これはVCD再生デッキがビデオデッキよりも小さく廉価であることから、デッキごとVCDを友人・知人間で回せる事、PCでも再生可能な事が関係しているようである。
尚、レンタルビデオ店の減少には、月約150〜200Rs前後で加入できるケーブルテレビ(都市によっては60〜70チャンネルある)の急速な普及が影響しているのはよく知られている。中にはおそらく80年代前半あたりのものと思われる『プレイボーイ』のビデオを深夜30分程やっているチャンネルがあったが、これは地元ケーブル会社のサービスかと思われる。密集した街中の、一区画ごとに存在するような各ケーブル会社では新規顧客開拓のためにこうしたエロ番組を流すことは稀だが、公開中のヒンディー映画を流すことは非常に多い。(これはもちろん違法行為であるが)

■所で正規版エロVCD(インド製ポルノ映画)だが、例えば正規版ヒンディー映画VCDの価格が平均約150Rs前後だとして、大体80〜90Rs前後で購入出来る。これはビデオ化権そのものが安い事、上映時間が一般のインド映画よりも短い事(非エロ映画が2〜3枚組みVCDなのに対し、エロVCDは1枚)、そもそも需要が無い事などからであると思われる。尚、右の2枚の正規版エロVCDは私の個人所有のものである。

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『Manasa aura Manovigyaan
(心とその哲学)』

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『101 Raat(101の夜)』


■海賊版エロVCD
の世界
■『Times of India』紙11月28日(02')に「海賊版ポルノVCD」の製造とその摘発に動く警察に関する興味深い記事が掲載されている。記事によれば、不法にコピーされるポルノVCD1枚の製造原価はたったの5Rs(約12円)である。それが小売店などで100〜250Rs(約270円〜675円)で売買されている。ゴマちゃんも以前数枚購入していたが、確か200Rsだったと言っていた。
こうした海賊版ポルノVCDはデリー市内ではMayapuriなどにある小工場で製造されているが、比較的小規模・低資本で始められるため、いたちごっこのようである。また記事によれば、コピー元となるオリジナル(マスター)は主にシンガポールから密輸れているという。シンガポールのリトル・インディアには確かに売春宿が密集している一角(Desker Road)があり、そこではアダルト玩具などと共にエロVCDも屋台で売られている。シンガポールで売られているエロVCDは、中華系の多い土地柄を反映してか、アメリカからのもの(洋モノ)の他に日本のアダルト・ビデオからのコピーものが約半々の割合で売られていたが、インドで小売店の棚から密かに薦められるエロVCDは殆どが洋モノである。(尚、シンガポールで売られている海賊版VCDはおそらくタイから流れているのではと思う)

■デリーでは例えばコンノート・プレースにあるパリカ・バザールのVCD小売店などでも大半の店がこうした海賊版エロVCDを扱っている。大体、中が透けて見えないポリ袋に入れられており、購入前に試聴も可能である。ただしデッキは店の裏にあってもモニターは店内にあるので他の客にバレる。

 

売春世界
■大学生や主婦・未亡人といった女性がアルバイト的に売春しているケースも存在するし、そうした女性を斡旋する者もいるが、各街に売春宿が存在し、そうした場所で働くスタイルが一般的な形態である。従事している女性たちは主体的にこの世界に入るケースも稀にはあるが、大半が自らの意志にそぐわない形でこの業界に参入している。
多くはネパールやバングラディシュをはじめ、インド全土の貧困家庭から売られるケースが大半である。(ユニセフの統計では、ネパールから売られた女性たちの82%は、仕事に就くまでその内容を知らなかったという)仲介するエージェントは無数にあり、誘拐まがいのものから甘言を呈した詐欺まがいのものまで勧誘のスタイルも様々である。

■女性たちを売春宿まで移動させる上で問題となるのが国境越えである。インド国内移動やお互いの行き来にパスポートすら要らないインド〜ネパール国境の場合は問題無いが、インド〜バングラディシュ間はパスポートが必要である。ここで暗躍するのがDhurと呼ばれる国境越えの密輸業者であり、彼らは物品の他、売春婦も扱っている。こうした密輸品はSatkhira, Jessore, Meherpur, Chapai Nawabganjiといった国境付近の村に作られた、Ghatと呼ばれる集積所に集められる。ここを管理する人はおそらく裏金工作などによって国境の行き来に自由が与えられており、こうした人々の助けによって斡旋業者たちは売春婦と共に国境を越える。国境越えは陸を歩いて渡るものの他、中には河を泳いで、といったものもある。また、Ghatや業者の手助けなしでも、国境管理官に性的なサービスを提供させる事によって通過させる斡旋業者も居る。

■こうして女性たちは、カルカッタ(ソーナガチ)、デリー(GBロード)、ボンベイ(カマティプラ)といった大都市に運ばれて行くが、その途上の街で既に客を取らせ、ある程度『教育』を施してから大都市に運ぶのが一般的である。その方が女性に高い値が付くからである。

■ちなみにインドでは、どんな小さな街にもこうした売春宿は存在するという。HIVをはじめとする性病が、主に長距離トラック運転手によって全土に運ばれ、今やインドのHIV感染者総数は米CIAの調べでは約800万人にも上り、今後さらに増えると見られている。
インド人のHIVに対する知識は非常に薄く、私の友人の例で言えば、HIVの名前こそ知っているものの、それがどのような病気であるのかは知らず、コンドームの着用も性病予防ではなく、単に避妊のためのものだと思っている者が少なくなかった。
ちなみに州別で見た場合、インド国内のHIV感染率はITで有名なAP州が最も高い。これに関連しているのかいないのか判らないが、あのマイクロ・ソフトのビル・ゲイツが2002年11月、インドのHIV感染者対策としてインド政府に1億ドルを寄付した事で話題になった。しかしその金の分配について政府・NGO団体間でもめている。

■尚、仏陀の時代から、インドでも売春は存在したが、急激に商業化したのは18世紀、イギリスの支配下に入ってからである。ボンベイやカルカッタといった港街が急速に都市化・工業化し、イギリス人を中心に行き来する諸外国男性を楽しませるために売春婦が急増したと言われる。

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『Mandi(女市場)』
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『Chandni Bar』 

 

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